【質問者】
小川浩平 奈良県立医科大学皮膚科
【第一選択はダブラフェニブ+トラメチニブもしくはエンコラフェニブ+ビニメチニブ】
根治切除不能の悪性黒色腫に対する薬物療法は,近年では(低分子性)分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬が2本の柱となっています。この2者の使いわけは,まずBRAF遺伝子変異の有無によって判断されます。BRAF遺伝子変異陽性の場合は,BRAF阻害薬/MEK阻害薬の併用療法(ダブラフェニブ+トラメチニブ併用もしくはエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用)もしくはベムラフェニブ単剤,または免疫チェックポイント阻害薬が選択可能で,同遺伝子変異陰性の場合は免疫チェックポイント阻害薬の中から治療選択を行うこととなります。
分子標的薬の中ではBRAF阻害薬/MEK阻害薬の併用療法が主体で,BRAF阻害薬単剤による治療が第一選択とされることはほぼなくなってきています。2019年以降,臨床の現場では上述の2種類のBRAF阻害薬/MEK阻害薬併用療法(タフィンラーⓇ+メキニストⓇ,ビラフトビⓇ+メクトビⓇ)が施行可能となっています。いずれも非常に高い奏効率を得られますが,薬剤耐性の出現という課題はまだ残されており,加えて安全性プロファイルに若干の違いがあるため,実際の使用に際してはそれぞれの特徴を理解した上で行うことが重要です。
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