【質問者】
市岡 滋 埼玉医科大学形成外科・美容外科教授
【囊胞のみでなく,発生源である関節包や靱帯を一部含めて切除する】
ガングリオンは,上肢の腫瘤で最も多いものです。発生部位は手関節背側が最も多く,そのほか手関節橈掌側,指や手関節の腱鞘,指節間関節などに生じます。関節包・靱帯・腱鞘に対する軽微な損傷が,線維芽細胞によるヒアルロン酸滑液の産生を刺激し,それによって生じたムチンが囊胞を形成してガングリオンとなると考えられています。ガングリオンの内容物であるムチンは関節包,靱帯,腱鞘から生じ,囊胞自体が産生することはありません。したがって,囊胞のみの切除では発生源を放置していることになり,再発も多くなってしまいます。
以下,手関節背側ガングリオンについて,病理解剖と手術法を解説します。手関節背側ガングリオンは,通常,手関節背側のほぼ中央,舟状-月状骨間関節上に存在します。大きくなると,長母指伸筋腱と総指伸筋腱の間から伸筋支帯をわけて皮下に囊胞を形成します。
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