鳥インフルエンザA(H7N9)については、医師の間でさえ「もう終息した」という声が聞かれるが、決して終わったわけではない。パンデミックの可能性が低下したH5N1と比べ、患者数は増加している。
中国では昨年4月から今年3月に300〜400人の患者が出たが、中国は今年、患者発生の原因と認め閉鎖していたマーケットを再開した。これはH7N9を征圧したからではなく既に中国全土に拡がってしまい(図1)、コントロール不可能となったから。H7N9を根本から封じ込め、ウイルスを持ったトリを探して殺処分するという対策は諦めてしまった。
それではどうするか。中国は、患者発生時の治療に全力を尽くす体制を構築しようとしている。上海の中核病院では、ECMO(体外式膜型人工肺)を40台用意したという。これがいかにすごいことかと言うと、日本の大学病院には普通、1〜2台しかない。
そうした中、危機感を持たないといけないのは、死亡率の問題。香港大学のグループは、患者は300〜400人にとどまらず、背後に数千から数万の軽症患者がいたのではないかと指摘している。死亡率は0.1〜1%と推定。これは大したことはないという意味ではなく、実際はトリからヒトに相当感染していて、その氷山の一角を見ていただけかもしれないということ。このまま流行が続くとヒトからヒトに拡がる危険性が高く、どこかの時点で必ず強毒ウイルスに変異するのがH7N9の特性。世界のインフルエンザの専門家は、相当な危機感を持っている。
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