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■NEWS 成人の予防接種推進に向け岡部氏「ワクチン接種にはコミュニケーションが必要」

No.4992 (2019年12月28日発行) P.70

登録日: 2019-12-18

最終更新日: 2019-12-18

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日本や世界における予防接種の現状と期待をテーマとしたセミナーを、欧州製薬団体連合会(EFPIA)が1215日に都内で開催した。講演した岡部信彦氏(川崎市健康安全研究所)は、「vaccine hesitancy」(ワクチン接種をためらうこと)を問題視。ワクチン接種には適切なコミュニケーションが必要だとした。

vaccine hesitancyは世界保健機関(WHO)が発表した「2019年の世界の健康に対する10の脅威」の1つとして盛り込まれているもの。

岡部氏はその例としてフィリピンでのデング熱ワクチン問題に起因する麻疹流行を紹介した。フィリピンでは、2016年よりデング熱ワクチンを導入していたが、デング熱に感染した場合、接種群のほうが重症化する可能性があると発覚。17年には公的接種を中止している。この問題がワクチン全体への不信感につながり、麻疹の予防接種率も低下しているという。

vaccine hesitancyが起こる理由について岡部氏は、「ワクチンの問題とその他(制度など)の問題」「個々の問題と公衆衛生の問題」「科学的(医学的)な批判とその他の要素に基づく批判」が整理されないまま語られていると分析。その上で、解決を図るためには、「被接種者、保護者、一般の人々、メディア、予防接種を行う予防接種を専門とするわけではない医師などに対する適切なコミュニケーションが必要だ」と強調した。

■ワクチンの認知度向上が課題

診療所医師の立場からは、中山久仁子氏(マイファミリークリニック蒲部)が登壇。中山氏は、成人ワクチンの接種率について、「ワクチンの認知度が高いほど接種率が高い」と説明。EFPIA Japan10月に実施した調査(n=2000)によると、成人ワクチンについて「知らなかったし、興味がない」と回答した276人のうち、半数超でインフルエンザワクチン接種歴がなかったのに対し、「よく知っていた」(265人)では15%にとどまっていた。成人ワクチンについて「知らなかったし、興味がない」人のうち約4割は、「中学・高校でワクチンによる感染症予防効果を学ぶ機会があれば、接種率の向上につながる」と考えていたという。中山氏は結果を踏まえ、ワクチンについて知る機会を増やす必要性を指摘した。

中山氏は接種率を上げるための取り組みとして、接種場所の拡大も提案。具体的な接種場所としては医療機関、職場、学校、薬局、スーパー、公民館と列挙した。また、医療者や予防接種に関わる人への教育も大切だとした。

セミナーではパネルディスカッションも実施。国民へのワクチン認知度を高めるためには、街中での積極的な広告が有効だが、莫大な資金が必要であることから、「国が主導すべき」との声が相次いだ。

vaccine hesitancy」(ワクチン接種をためらうこと)について講演する川崎市健康安全研究所の岡部信彦氏

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