厚生労働省は8月30日、同省がHPVワクチンに関する情報提供用に作成したリーフレットについて、自治体での活用状況などを調査した結果を公表した。約7割の自治体では、リーフレットを接種希望者・対象者への情報提供に活用していなかった。調査結果は、同日開催された厚生科学審議会の副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会の合同会議で報告された。
HPVワクチンの情報提供用リーフレットには、①接種を検討している対象者・保護者向け、②接種を受けることを決めた対象者・保護者向け、③医療従事者向け―の3種類がある。積極的勧奨を中断する際に作成された2013年6月版が、18年1月に改訂された。
1741自治体を対象としたリーフレットの活用状況調査では、ウェブ掲載と窓口設置・配布の両方とも行っていない自治体が1235市町村(70.9%)に上った。両方とも行っていたのは91自治体(5.2%)にとどまっていた。
昨年10月にウェブ上で実施された一般国民への調査では、回答者2400人のうち34.2%がHPVワクチンの意義・効果を「知らない」とし、接種後に起こりうる症状についても45.5%が「知らない」とした。HPVワクチン接種に対する考えでは「分からないことが多ため、決めかねている」との回答が最多を占めていた。
調査結果を受け、長島公之委員(日本医師会常任理事)は、自治体が全ての接種対象者にリーフレットの個別送付を行い、できれば予診票も同封すべきと主張。濱田篤郎委員(東京医大病院教授)は、リーフレットの文言の分かりにくさを指摘し、リスクコミュニケーションの専門家の助言を得るなどして改善を図るよう求めた。五十嵐隆調査会長(国立成育医療研究センター理事長)は「子宮頸癌に罹ることの深刻さがもっと理解されないと、HPVワクチンを接種する意義も伝わらない」と述べ、学校教育の場での啓発強化を訴えた。