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肩関節脱臼[私の治療]

No.5037 (2020年11月07日発行) P.50

山本宣幸 (東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座整形外科学分野講師)

登録日: 2020-11-08

最終更新日: 2020-11-02

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  • 肩関節は人体の中で最も脱臼しやすい関節であり,98%は前方脱臼である。ひとたび脱臼すると高率(66~94%)に再脱臼する。発生頻度は二峰性で,10歳代,20歳代の若年者と50歳代,60歳代の中高齢者である。若年者はスポーツ中の受傷が多く,中高齢者は転倒が多い。

    ▶診断のポイント

    初回脱臼では,通常明らかな外傷機転(転倒,ラグビーでタックルされたなど)がある。反復性脱臼では外傷で発症する場合と,外傷なく日常生活動作(服の着替えや寝返り動作など)で発症する場合がある。脱臼の確認は単純X線像で容易である。

    ▶私の治療方針

    脱臼の整復方法には様々ある。我々は整復操作が簡単で,かつ整復時の痛みが少ない挙上法や外旋法を好んで用いている。初回脱臼と反復性脱臼では治療が異なる。初回脱臼患者に対しては,①外旋固定,②脱臼予防装具,③手術の3つの選択肢があり,患者とよく相談して治療方法を選択する。反復性脱臼患者に対しては,手術のみが唯一の根治的治療となる。手術は大きく鏡視下Bankart修復術と,烏口突起移行術(Latarjet法やBristow法)の2つにわけられる。高齢者で大きな腱板断裂を合併している反復性脱臼患者に対しては,手術方法が異なり,Bankart修復ではなく,腱板修復を行う。両者を同時に行うと拘縮が生じることが知られている。

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