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■NEWS 75歳以上の窓口負担、保険者は一般区分全員の2割化要請―社保審医療保険部会

No.5042 (2020年12月12日発行) P.70

登録日: 2020-12-01

最終更新日: 2020-12-01

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社会保障審議会医療保険部会は1128日、主に後期高齢者の窓口負担引き上げと、紹介状なしで大病院外来を受診した場合の定額負担義務化対象の拡大について議論した。この中で厚生労働省は、後期高齢者の窓口負担を2割化した場合に、2022年度における現役世代1人当たり保険料の対前年度増加額を最大で1300円削減できるとの試算を提示。保険者からは財政効果が不十分として、現在の一般区分全員を2割負担の対象にすべきとの意見が出た。

窓口負担を2割化する一定所得以上の対象者について、厚労省は前回、後期高齢者の上位20%以上~上位44%までの5つの選択肢を提示している。この日の部会に示した財政試算によると、2020年度時点で6.8兆円の後期高齢者支援金総額は、22年度は7.2兆円、25年度は8.2兆円に増加。前年度比は、22年度が2500億円増(現役世代1人当たりの支援金負担では3200円増)、25年度は3100億円増(4000円増)となる。対前年度増加額は、2010年代の年平均(総額1600億円増、現役世代1人当たり1700円増)と比べると22年度は1000億円増(1500円増)、25年度は1500億円増(2200円増)となるが、一定所得以上の窓口負担を2割化することで、22年度は最大1430億円(1300円)、25年度は1800億円(1800円)削減できるとしている(いずれも後期高齢者の上位44%を対象にした選択肢5の場合)。

■一般区分全員2割化の後期高齢者支援金削減効果は2230億円

また、仮に一般区分全員を2割負担とした場合の削減効果は、給付費5820億円、後期高齢者支援金2230億円、後期高齢者保険料570億円、公費3030億円になるとの試算も示した。

議論で保険者の複数の委員は「改革としては不十分と言わざるを得ない」(藤井隆太委員・日本商工会議所社会保障専門委員会委員)と厚労省案に不満を表明し、一般区分該当者全員を2割負担の対象にするよう強く要請した。これに対して松原謙二委員(日本医師会副会長)は、「ごくわずかな金額(の保険料負担軽減)のために高齢者に2割負担を押し付けることになる。性急な議論は避けるべきであり、今回の提案には反対だ」と憤りをみせた。

一方、大病院の受診時定額負担では、義務化対象を紹介外来が基本の一般病床200床以上の病院に拡大し、負担額を引き上げることに大きな反対はなかったが、初・再診時の診療報酬から一定額を控除して(保険給付対象から除外)、医療保険からの支出を抑制する仕組みの導入には、医療関係者が難色を示した。今回で一通りの議論が終了したことから、次回の部会には厚労省から、これまでの議論を整理した報告書原案が提示される見通し。

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