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■NEWS 年収200万円以上の後期高齢者で窓口負担を2割化―医療保険部会・論点整理案

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社会保障審議会医療保険部会は1217日、「議論の整理(案)」について前回に引き続き、意見交換した。今回提示された案は、政府の全世代型社会保障検討会議の最終報告を踏まえ、後期高齢者の窓口負担や、紹介状なしの大病院受診時定額負担などに関する記載を追加。後期高齢者のうち2割負担になる一定所得者の基準は、課税所得が28万円以上かつ年収200万円以上(複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計が320万円以上)とし、それ以外は1割負担を維持することを明記した。施行期日は、2210月から233月までの間の政令で定める日とする。

長期頻回受診者の受診抑制を回避するため、2割負担化に伴う1カ月の負担増加額を最大でも3000円に抑える配慮措置も盛り込んだ。具体的には月の窓口負担額が6000円を超えた場合(医療費が3万円を超えた場合)に、超過部分の負担割合が1割になるように高額療養費の上限額を設定する。例えば、月の医療費が9万円の場合は、医療費3万円までの負担額は2割の6000円、残り6万円は1割負担の6000円、窓口負担の総額は12000円となり、全額2割負担の場合の18000円に比べて、負担額は6000円減少。1割負担の時の9000円と比べると、3000円の増加に収まる。配慮措置の実施期間は、施行後3年間。厚生労働省によると、負担増となる被保険者のおよそ8割が配慮措置の対象になるという。

一方、紹介状なしでの大病院受診における定額負担徴収の義務化では、①対象施設を、新たに地域の実情に応じて明確化される「紹介患者への外来を基本とする医療機関」のうち一般病床200床以上の病院に拡大する、②かかりつけ医機能を担う医療機関を受診せず、あえて紹介状なしで大病院を受診する患者の初・再診では一定額(初診は2000円程度)を保険給付範囲から控除し、控除分以上、定額負担を増額する、③大病院での再診を続ける患者への定額負担を中心に除外要件を見直す―などの方針に沿った具体策の検討を中央社会保険医療協議会に指示した。

■国民への丁寧な説明を、受診時定額負担の引き上げで医療機関関係者

議論で保険者の多くは、2割負担化する後期高齢者の範囲について、現役世代の負担軽減策としては不十分と不満を表明。さらなる拡大に向けた議論の継続を強く要請した。医療機関関係者は、大病院受診時定額負担の負担額引き上げで医療現場に混乱が起こることのないよう、国民への丁寧な説明と周知を厚労省に求めた。

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