シャルコー関節は,急速に進行する骨,関節破壊性の関節症で,稀な疾患ではあるが多くは糖尿病長期罹患患者の足部,足関節に発症する。関節破壊とそれに不相応に軽度の疼痛を特徴とし,放置すると急速に足部アーチの扁平化や後足部の内外反変形などの著明な変形を生じる。
足部の腫脹,発赤,局所の熱感がみられるものの疼痛は軽度なことが特徴的である。糖尿病患者においては,特に潰瘍から蜂窩織炎や深部感染を生じることがあり,骨髄炎との鑑別はきわめて重要となる。
シャルコー関節は単純X線所見から,stage 0(前駆期),stage Ⅰ(進行期),stage Ⅱ(癒合期),stage Ⅲ(再生期)の4つのstageに分類される1)。前駆期には,単純X線で明らかな異常所見を認めない。進行期になって関節破壊,軟骨下骨の断片化,亜脱臼,脱臼に加え,骨吸収や骨融解,骨膜反応を呈するが,骨髄炎でも同様の所見を呈するため,単純X線画像所見のみから鑑別することは困難である。癒合期,再生期には軟骨下骨の硬化を生じ,大骨片同士は癒合傾向に入り,最終的に足関節,足部の変形は完成する。
治療の目標は,足部,足関節の病変部の安定化を図り,腫脹を軽減させて変形や潰瘍形成,ひいては感染を防止して荷重機能を維持することにある。
前駆期には,軽度の腫脹,発赤を認めるのみであるが,進行期になると症状は増悪し急性炎症の所見を呈する。前駆期から治療を開始すれば,変形を予防できる可能性が高まるため,極力早期に診断を下し,治療を開始することが肝要である。
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