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わが国最多のリケッチア感染症:つつが虫病

No.5046 (2021年01月09日発行) P.47

岩崎博道 (福井大学医学部附属病院感染制御部・ 感染症膠原病内科教授)

重見博子  (福井大学医学部附属病院呼吸器内科)

登録日: 2021-01-11

最終更新日: 2020-12-28

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【正確な診断のためには6種の血清型を確認する必要がある】

つつが虫病は,わが国で報告数の最も多いリケッチア感染症で,毎年約500例の届出件数がある。つつが虫病リケッチア(Orientia tsutsugamushi)を保有するツツガムシ(体長0.2~0.8mm)の幼虫に刺咬されて感染する。発熱・発疹を認めた際に本症を疑えば,注意深く感染機会の有無を聴取する必要がある。多くの症例(85%)には病原体の侵入部位に相当する「刺し口」が存在する。刺し口は中心に痂疲を伴い,直径1cm程度の紅斑を呈する特徴的な所見である。つつが虫病はテトラサイクリンが著効する。疑診すればempiric therapyも許容されるが,確定診断が重要である。

正確な診断のためには最寄りの保健所を介して,地方衛生研究所での検査が不可欠である。リケッチアは通常の培養では増殖しないため,血清特異抗体価上昇の確認か,痂疲や血液における遺伝子診断が求められる。現在,6種の血清型を確認する必要がある。標準3型(Gilliam,Karp,Kato)に加え,近年明らかになった新型3型(Irie/Kawasaki,Hirano/Kuroki,Shimokoshi)も併せて確認しなければ正確な診断には至らない。商業的機関による抗体検査では標準3型にしか対応できないため,診断を見逃す可能性があることを常に念頭に置くべきである。

【参考】

▶ 岩崎博道:リケッチア症診療の手引き. 福井大学医学部附属病院医療環境制御センター・感染制御部. 2019.
[https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/wp/wp-content/uploads/r-tebiki20190422.pdf]

▶ 山藤栄一郎:Hospitalist. 2017;5(3):519-28.

【解説】

岩崎博道 福井大学医学部附属病院感染制御部・ 感染症膠原病内科教授

重見博子 福井大学医学部附属病院呼吸器内科

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