1月18日に答申された2021年度介護報酬改定では、施設系、通所系サービスなどを対象に「科学的介護推進体制加算」を新設し、CHASEにデータを提出してフィードバックを受け、その結果を踏まえてケア内容を見直すといったPDCAサイクルを回す、科学的介護の実現を介護報酬でも後押しする方針を明確に打ち出した。現在のCHASEとVISITは、21年度からの一体的運用を機に、名称を「科学的介護情報システム」(Long-term care Information system For Evidence=LIFE、ライフ)に統一する。
今回の改定に伴う省令改正では、全ての事業者にCHASE・VISITへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進とケアの質の向上を推奨することになっている。これを受けて個別改定項目では、機能訓練やリハビリテーションなどに関連した加算で対応する区分の新設などが行われる。
「科学的介護推進体制加算」は、これらサービス単位での評価とは別に、施設・事業所の体制評価として設定される。算定要件では、入所者・利用者ごとの心身の状況など(加算IIは心身、疾病の状況など)に関する基本情報の厚生労働省への提出などを求める。報酬額は、通所系・多機能系・居住系が月40単位、施設系は2区分とし、加算(I)は40単位、加算(II)は60単位に設定する。
居宅介護支援では、ケアマネジメントの質の向上を目指し、「特定事業所加算」を再編成する。具体的には、▶加算(I)〜(III)の報酬単位の引き上げ、▶事業所間連携によって体制を確保する小規模事業所を対象にした加算A(100単位/月)の新設―を実施。加算(I)〜(III)と性質が異なり、病院との連携や看取りへの対応を要件とする現行の加算(IV)は、「特定事業所加算」から切り離し、「特定事業所医療介護連携加算」(125単位/月)として独立させる。
医療機関と居宅介護支援事業所の連携が一層深まるよう、利用者の診察にケアマネジャーが立ち合い、医師からの指導・助言を踏まえてケアマネジメントを行った場合の評価として、「通院時情報連携加算」(50単位/月)も新設する。
訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションでは、自立支援と重度化防止につなげることを目標に、「リハビリテーションマネジメント加算」を見直す。両サービスとも加算(I)は廃止し、基本報酬の算定要件に組み込む。加算(II)、(III)は加算(A)、(B)に名称を改めた上で、算定要件が現行と同等の(イ)と、VISIT、CHASEへのデータ提出を求める(ロ)の2つの区分を設定。VISITへのデータ提出を要件とする従来の加算(IV)は廃止する。介護老人保健施設と介護医療院のリハビリテーションにおいても、CHASE、VISITへのデータ提出を評価する加算(老健「リハビリテーションマネジメント計画書情報加算」、介護医療院「理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算」、いずれも33単位/月)を新設する。