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在宅医療の諸相[1](導入〜維持)─家族ケアと多職種連携が鍵になる[プライマリ・ケアの理論と実践(91)]

No.5052 (2021年02月20日発行) P.12

柳本蔵人 (東京ビジネスクリニック ペリエ千葉エキナカ,鴨川市立国保病院)

登録日: 2021-02-18

最終更新日: 2021-02-17

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SUMMARY
在宅医療の導入では,病状把握と住環境の評価をしつつ,今後予測される変化を説明し,患者・家族らの希望を確認していく。維持期においては,急変させずに安定した在宅生活を支援する。いずれも家族ケアと多職種連携が鍵となる。

KEYWORD
五快と苦痛の確認
維持期では訪問ごとに,「五快」と苦痛(全人的苦痛の視点から)の有無の確認を必ず行う。「五快」とは,快食,快眠,快便,快動(ADLの変化),快重(体重変化)を指す。いずれも問題なければ,ある程度安定した生活が継続できていると判断する。

柳本蔵人(東京ビジネスクリニック ペリエ千葉エキナカ,鴨川市立国保病院)

PROFILE
自治医科大学卒。千葉県で地域医療に従事後,祐ホームクリニック(東京),つばさ在宅クリニック(千葉)で在宅医療を学び,現職。日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医,日本在宅医療連合学会認定専門医・指導医,公衆衛生学修士。

POLICY・座右の銘
Hope for the best, and prepare for the worst (希望を支えつつ,最悪に備える)

1 在宅医療の導入

訪問診療の開始前に,患者・家族らと事前面談を行い情報収集しておく。病院から退院して在宅導入となる場合は,退院前カンファレンスに参加し,医学的な情報(治療方針や処置,物品の内容,予後),家族・生活・介護面の情報,退院後のケアの調整・シンプル化,病状悪化時の対応,患者・家族らの希望などを確認する。在宅医療の仕組みや利点,病院医療との違いも説明しておく。事前面談シートなどを活用し,院内のスタッフと情報を共有した上で,初回訪問診療を行う。退院直後は不安定なことが多く,可能な限り退院当日に訪問診療の予定を組む。初回訪問の何より重要な点は,訪問後に,患者・家族らに「次回も来てもらいたい」と思ってもらうことであり,関係性の構築に重点を置く。

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