政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は3月5日、首都圏1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)に発令中の緊急事態宣言について、7日の期限を21日まで2週間再延長することを決めた。同日、記者会見に臨んだ菅義偉首相は「2週間は感染拡大を抑え込むと同時に、状況を慎重に見極めるために必要な期間」と理解を求め、市中感染を探知するための無症状者のモニタリング検査を大都市に拡大する方針などを示した。
会見に同席した基本的対処方針等諮問委員会の尾身茂会長は、大阪や愛知は2月26日で宣言を解除したのに対し首都圏のみ再延長する理由について、首都圏では「クラスターの源が分からないことが多い」と強調。「(首都圏は)リバウンドを起こす可能性が他の地域よりも高い」として、2週間の間に1都3県の知事が解除後の感染者大幅増を防ぐための対策を打てるかが重要との認識を示した。
菅首相は、「感染対策の切り札」としてワクチン接種を重要視する考えをあらためて示し、医療関係者への優先接種の対象者は470万人を超える見通しであること、高齢者への優先接種は4月12日からスタートし4月末から規模を大幅に拡大していくことなどを説明した。
緊急事態宣言再延長の決定を受け、日本医師会の中川俊男会長は3月5日にコメントを発表し、「慎重かつ冷静で大局的な英断」と評価。
21日までの2週間で収束への道筋をつけるには、これまでの対策の徹底とともに新たな対応が必要だとし、潜在的な感染源を同定するための「後ろ向き積極的疫学調査」(深掘積極的疫学調査)の実施などを求めた。
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