関節痛患者の診察において,まず関節周囲の痛みなのか,関節の痛みなのか,また関節の痛みの場合は,非炎症性か,炎症性かを病歴・身体所見から区別することが必要である。
重篤で緊急性のある疾患として化膿性関節炎,骨髄炎,外傷などがある。
関節痛の患者を評価するために必要な情報は,①関節性か非関節性か,②炎症性か非炎症性か,③経過は急性か慢性か,④分布は局所性(単関節性)か広範性(多関節性)かの4点である。
急性の関節痛は感染性,結晶性であることが多い。一方で慢性の病態は,非炎症性,免疫性(変形性関節症,関節リウマチなど),非関節性(線維筋痛症など)であることが多い。
年齢,性別によって好発する疾患がある(中高年男性の痛風発作,高齢女性の偽痛風など)。
外傷の有無,発熱の有無,既往歴,合併症,家族歴も有用な情報となりうる。
発熱,頻脈,低血圧:化膿性関節炎,骨髄炎による敗血症性ショックを疑う。
外傷のエピソードがある患者で皮膚の湿潤,末梢冷感,頻脈,血圧低下,意識障害を認めるときは外傷による出血性ショックを考慮する。
全身,あるいは関節外病変の有無も観察する。
視診では腫脹,変形,発赤の有無を診る。触診では熱感,圧痛,関節液貯留の有無を診る。
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