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吸入損傷(気道熱傷)[私の治療]

No.5062 (2021年05月01日発行) P.88

池田弘人 (帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター准教授)

登録日: 2021-05-04

最終更新日: 2021-04-30

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  • 火災や爆発の際に生じる煙や有毒ガス,高温水蒸気などを吸入することによって惹起される種々の呼吸障害を総称して気道熱傷〔(smoke)inhalation injury〕と呼ぶ。上気道型,肺実質型(狭義の気道熱傷)に分類されるが,前者は気道閉塞所見が強く,後者は呼吸不全所見が主体となる1)

    ▶病歴聴取のポイント

    職業歴,喫煙歴,入院歴,発症状況,受傷状況,就業中の事故で受傷したのであれば,火災発生状況や有毒ガス発生の可能性の有無などを,現場を熟知する受傷者の立場から話してもらう。ただし,初診時に意識障害が生じていることも多く,まったく聴取できない場合は,消防隊や救急隊,警察,現場関係者から情報を得る必要がある。ビル火災や閉所火災は気道熱傷を疑う情報のひとつである。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    咽頭痛,呼吸苦,嗄声,顔面熱傷,鼻毛焼失,口腔内スス付着,火災現場から救出された場合で既に意識障害がある,などが気道熱傷を疑う症状および身体所見である。バイタルサインでは,頻呼吸がみられることが多いが,昏睡状態であれば呼吸回数が少ないこともある。血圧は苦痛により上昇していることが多いが,正常あるいは低下していることもある。

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