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【一週一話】ベンゾジアゼピン系薬と眼瞼痙攣

No.4717 (2014年09月20日発行) P.53

鈴木幸久 (独立行政法人地域医療機能推進機構三島総合病院眼科部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

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  • ベンゾジアゼピン(BZD)系薬や類似薬であるチエノジアゼピン系薬は,比較的副作用が少ないため,抗不安薬や睡眠導入薬などとして広く使用されている。BZD系薬の長期投与中に稀に眼瞼痙攣という疾患を発症することがある。原発性眼瞼痙攣の原因は不明で,40歳代以降の女性に多く,瞬目過多や羞明(photophobia)などの症状で始まり,眼輪筋の不随意運動によって開瞼動作に支障をきたす疾患である。「痙攣」と名前がついているが,書痙や痙性斜頸などと同様に局所性ジストニアに分類されている。ジストニアの病因はまだよくわかっていないが,脳内に原因があると考えられている。

    筆者らは,18F-フルオロデオキシグルコース(fluorodeoxyglucose:FDG)とポジトロン断層法(positron emission tomography:PET)を用いて,原発性および薬剤性眼瞼痙攣患者の安静時脳糖代謝を測定した1)。BZD系またはチエノジアゼピン系薬を長期投与中に眼瞼痙攣を発症した症例を薬剤性眼瞼痙攣と定義した。薬剤性眼瞼痙攣21例(男性5例,女性16例),原発性眼瞼痙攣21例(男性5例,女性16例)および,BZD系薬を長期投与しているが眼瞼痙攣を発症していない正常人(薬剤正常群)24例(男性6例,女性18例)を,BZD系薬などの投与歴のない健常人63例(健常群)(男性15例,女性48例)と比較した。薬剤性眼瞼痙攣群および薬剤正常群では,BZD系薬を2週間以上休薬し,薬剤の影響がない状態で測定した。さらに薬剤性眼瞼痙攣群のうち,可能な症例については引き続き休薬を継続した。薬剤性眼瞼痙攣群,原発性眼瞼痙攣群および薬剤正常群において両側視床に有意な糖代謝亢進がみられた。

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