ワクチンの接種現場では,接種後のアナフィラキシーに対応できる準備が不可欠である。その理由は,アナフィラキシーは接種直後(ほとんどが接種後30分以内)に起こり,時には生命にもかかわる副反応だからである(図1)。
アナフィラキシーとは「アレルゲン等の侵入により,複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され,生命に危機を与えうる過敏反応」であり,アナフィラキシーショックとは「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」と定義される4-1)。重篤なアレルギー反応を「アナフィラキシーショック」と総称するのは本定義からは誤用であり,「アナフィラキシーショック」は「アナフィラキシー」の病態の一部である。
アナフィラキシーはアレルゲン等に対する生体の反応であり,造影剤・抗菌薬・鎮痛薬などの医薬品投与,鶏卵・ソバ・ナッツ類などの食物摂取,ハチ刺傷やラテックスへの接触など,発症の原因は様々である。ワクチン接種後も,一定の頻度でアナフィラキシーが起こる。