新型コロナワクチンは予防接種法に基づく「臨時接種」として実施される。各個人の重症化を防ぐことはもちろんであるが,社会における緊急のまん延予防が目的に掲げられており,接種対象者には公的な「接種勧奨」の規定が適用される。個人の接種に関する「努力義務」については,妊婦を除外して適用される。妊婦に努力義務を課さない理由は,開発間もないワクチンであり,妊婦や胎児に対する安全性や有効性のデータが限られており,個々に慎重な判断ができるようにするためである。また,2021年4月末時点で薬事承認されているのはファイザー製ワクチンのみであり,「16歳以上」が接種対象である(表1)。
実施にあたっては,ワクチンに関する説明を受けた上で,各個人の同意に基づいて接種が行われる。接種対象者それぞれで,体質や基礎疾患,考え方などは異なるが,接種前の予診により接種の可否を決定する。厚生労働省から「予診票の確認のポイント」6-1)が発行されている。