【質問者】
勝田友博 聖マリアンナ医科大学小児科准教授
【ISRRとは,ワクチン接種という行為がストレスを引き起こし一連の反応が発生することをまとめた概念である】
AEFIは,ワクチン接種後にみられる有害事象(副反応と断定できるできないにかかわらず生じた,健康上有害な事象)すべてを含むもので,ISRRもその中のひとつととらえられます。
ストレスに対する個人の反応は,身体的・心理的・社会的因子が複合的に絡み合って身体的心理的症状を示し,相互に関連し複雑です。これを理解しておくことは,ストレス反応の予防,診断,適切な対応を行う上で重要です。
予防接種の副反応は,ワクチン液そのものの反応としてとらえられることが多かったのですが,「ワクチン接種を行う」という行為がストレスを引き起こし,一連の反応を誘発することについて,WHOの専門家会議(Global Advisory Committee on Vaccine Safety:GACVS)で議論されました。これに関わるストレス反応をできるだけ除くようにする,発症したとしてもそれによる健康障害を最小にすることによってワクチン接種の安全性を高められるとして,ISRRという概念が提唱されました。
この反応は,予防接種前,直前直後の急性反応あるいは接種後時間を経た後の遅発反応として起こるもので,集団的接種では特に生じやすく,近年のsocial mediaの存在はこれにいっそう拍車をかける可能性があることが述べられています。急性反応は血管迷走神経反射を含むものであり,遅発反応は解離性神経症状反応(dissociative neurological symptom reactions:DNSR)として現れます。
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