社会保障審議会介護給付費分科会は6月25日に持ち回りで開いた会合で、小規模多機能型居宅介護(小多機)の登録・利用者定員などに関する厚生労働省令の改正を了承し、社会保障審議会に報告した。これを受けて社会保障審議会は同日、諮問通りの改正を田村憲久厚生労働大臣に答申した。改正後は、これまで全国一律だった登録・利用者定員などに関する基準を、市町村が地域の実情に応じて独自に定めることが可能になる。
小多機は、「通い」を中心に、利用者の様態や希望に応じて随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせて提供する地域密着型サービスの1つ。利用登録できる人数の上限(登録定員)は29人まで、1日当たりの利用者数の上限は、通いが登録定員の2分の1から18人まで、泊まりは通い定員の3分の1から9人までと定められている(本体事業所の場合)。これらは、市町村が条例を定める際に必ず適合しなければならない基準(従うべき基準)として、介護保険法と厚生労働省令(運営基準)に位置づけられ、実質的に全国一律の基準として機能している。
だが、2020年の地方分権改革に関する提案募集で、地方から地域特性に応じたサービス提供が可能になるよう見直しを求める提案があったため、政府は基準の位置付けをこれまでの「従うべき基準」から「標準基準」に緩和する「第11次地方分権一括法(介護保険法を含む9法律を一括改正)」を先の通常国会に提出。同法が5月に成立・公布されたことから、厚生労働省令についても同様に見直すことになった。
施行後は合理的な理由があれば、市町村が国の定めた標準基準とは異なる基準を条例で定められるようになる。改正省令の公布は8月上旬、施行日は第11次地方分権一括法と同じ8月26日。