中外製薬は6月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するカシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル療法について、同日付で製造販売承認申請を行ったと発表した。同社は厚生労働省に対し特例承認の適用を求めている。
同抗体カクテル療法は、COVID-19に対する治療・予防を目的に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する2種類のウイルス中和抗体カシリビマブとイムデビマブを組み合わせるもので、米国のリジェネロン社とスイスのロシュ社が開発。中外製薬は日本での開発権、独占的販売権をロシュ社より取得している。
今回の承認申請は、COVID-19患者を対象とした海外第3相臨床試験(REGN-COV 2067試験)と日本人における安全性と忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第1相臨床試験の成績に基づくもの。2021年3月のロシュ社の発表によると、入院していない高リスクのCOVID-19患者を対象とした第3相試験で、同抗体カクテル療法は入院または死亡のリスクを70~71%有意に低下させたという。
中外製薬と日本政府は2021年5月、同抗体カクテル療法が薬事承認された場合、国内での供給を目的に2021年分を政府が確保することについて合意している。
カシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル療法
2つの抗体がウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に非競合的に結合することで、SARS-CoV-2に対し中和活性を示す。変異株に対しても効果を示すことが期待されている