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血管奇形に対する治療─最近の話題など

No.5076 (2021年08月07日発行) P.45

兵藤伊久夫 (産業医科大学病院形成外科)

野村 正 (神戸大学大学院医学研究科形成外科学准教授)

登録日: 2021-08-05

最終更新日: 2021-08-05

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  • 血管奇形に対する治療について,最近の話題などをご教示下さい。神戸大学・野村 正先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    兵藤伊久夫 産業医科大学病院形成外科


    【回答】

    【治療には手術,硬化療法や圧迫療法がある。近年,遺伝子異常について注目されている】

    血管奇形における治療の目的は,疼痛,整容面,出血や組織障害を改善させることです。孤立して境界が明瞭な病変では,外科的に切除することが最も確実な治療法です。しかし,大きな病変や浸潤型では出血や術後の機能障害が問題となるため,非手術的治療が選択されます。

    硬化療法はその代表的なもので,病変内に界面活性剤(ポリドカノールやモノエタノールアミンオレイン酸塩など)やエタノールなどの薬剤を注入して病変を縮小させる方法です。リンパ管奇形に対してはピシバニール®がよく用いられます。高流速病変(動静脈奇形)では,経カテーテル的な塞栓術などinterventional radiology(IVR)の技術も欠かせません。他の治療法として,四肢では弾性着衣を用いた圧迫療法は疼痛の改善が期待でき,漢方薬(越婢加朮湯,黄耆建中湯など)内服も病変縮小の報告があります。現状では難治の血管奇形に対する決定打となる治療法はなく,上記の治療法を症例に応じて組み合わせることとなります。

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