一般的に脱税した際のペナルティは重く,延滞税に加えて35~50%の重加算税が課される1)ほか,刑事罰が下されることもあります。
また,医師の脱税も比較的重い行政処分を受けるケースが多く,過去には2年以上の医業停止処分になった事例もあります。
医師・歯科医師の行政処分については,厚生労働大臣が医道審議会での意見を聞いた上で,処分内容が決定されます。
医道審議会とは,医師,歯科医師,理学療法士,作業療法士などの医療従事者に対する行政処分の調査・審議を行う機関です。
医師法第7条第1項および歯科医師法第7条第1項では,医師の行政処分の内容について,以下の3つとしています。
このように重い行政処分の場合は,“医師免許の取り消し”ということもありえます。
なお罰金以上の刑に処せられた医師・歯科医師については,まず法務省から厚生労働省に対して判決の結果および事実の要旨などの情報提供がされます2)。その後,医道審議会を経て行政処分の内容が決定されるので,刑事事件で有罪判決が確定した後に行政処分を受けることが大半です。
医道審議会の答申の対象となる医師・歯科医師が受ける行政処分の中で,最も多いものは“医業停止”処分です。
厚生労働省が公表している「医道審議会医道分科会議事要旨」3)を確認すると,戒告や医師免許取り消しは比較的少なく,医業停止がかなり多いことがわかります(表1)。
医道審議会医道分科会の「医師および歯科医師に対する行政処分の考え方について」4)に記載されている,税法違反への行政処分の考え方を引用します。