【質問者】
千貫祐子 島根大学医学部皮膚科准教授
【難治な円形脱毛症治療は範囲,病勢,罹病期間,年齢を考慮して行う】
円形脱毛症の治療は,「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」において,29項目のクリニカルクエスチョンにわけてわかりやすく解説されています1)。治療法の選択については脱毛範囲,病勢,年齢などが考慮されています。円形脱毛症は長い病歴,広範囲,発症年齢が若い,円形脱毛症の家族歴,またアトピー体質があると難治性になる傾向があります。ガイドラインで推奨度Bである局所免疫療法は,年齢を問わず,脱毛巣が頭部の25%以上を占める多発型,全頭型,汎発型の症例に第一選択肢として行うように勧められます。適度なアレルギー性接触皮膚炎が誘導される濃度を継続することが効果を上げる秘訣ですが,色素沈着や白斑が生じてきた場合には中止するほうがよいです。また,重度のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)を合併している患者では,局所免疫療法によって皮膚炎がさらに悪化し脱毛症状も改善しないことが多いです。重度AD合併例ではデュピルマブやバリシチニブの投与によってADの改善がみられた結果,円形脱毛症も改善する症例があります。
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