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デング熱[私の治療]

No.5079 (2021年08月28日発行) P.37

忽那賢志 (大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授)

登録日: 2021-08-28

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  • デング熱は,フラビウイルス科フラビウイルス属デングウイルスによる蚊媒介性感染症である。熱帯・亜熱帯地域で流行しており,わが国では主に輸入感染症として診断されるが,2014年には日本国内でもアウトブレイクし,160人の感染者がみられた。

    ▶診断のポイント

    デング熱の潜伏期は3~7日であり,発熱は5~7日続くのが典型的な経過である。発熱以外には頭痛,関節痛の頻度が高く,筋肉痛,下痢,嘔気・嘔吐といった症状がみられることもある。

    デング熱といえば皮疹をイメージしやすいが,全例で皮疹が現れるわけではなく,特に発熱期には皮疹はみられないことが多い。解熱する時期と前後して紅斑が出現してくる。

    デング熱を診断する方法は,主に①PCR法によるデングウイルスの検出,②非構造蛋白(NS1)抗原の検出,③IgM抗体の検出(ペア血清による抗体陽転または有意な上昇),の3つである。これらのいずれかを証明することによりデング熱と診断することができる。

    デングウイルスはウイルス血症を呈する発症日から5日目くらいまで検出される。NS1抗原はデングウイルスの「非構造蛋白抗原」であり,デングウイルスと同様に発症日から検出されうるが,デングウイルスよりもやや長く,発症7日目くらいまで検出されうる。デングウイルスIgMは発症4日目くらいから陽性となる。

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