株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

内側脛骨ストレス症候群(MTSS)とその予防

No.5079 (2021年08月28日発行) P.48

大見武弘 (東京医科歯科大学医学部附属病院 スポーツ医学診療センター理学療法士)

登録日: 2021-08-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【ランニング障害のMTSSのリスクファクターは重要】

スポーツ傷害は,一度の外力が要因で生じるスポーツ外傷と,オーバーユースが要因で発症するスポーツ障害にわけられる。代表的な下腿のスポーツ障害である内側脛骨ストレス症候群(medial tibial stress syndrome:MTSS)は,①脛骨遠位2/3に沿った痛みが運動によって出現する,②下腿後部コンパートメントでの痙攣や灼熱感,足の痺れがない,③脛骨の後内側に沿って圧痛が5cm以上あること,などから診断される1)

従来のMTSSの危険因子は,女性,足部アーチ機能低下,MTSSの既往がある,股関節屈曲位での外旋可動域が大きい,矯正装具の使用,body mass index(BMI)が大きいこと,が挙げられていた2)。近年のMTSSの危険因子では,上記から矯正装具の使用とBMIが除外された3)。BMIは,異質性が中等度であったため危険因子から外されたが効果量は大きかった3)ため,MTSSを予防する上で選手の体重管理に注意が必要であろう。

上記の危険因子を考慮することはMTSSの予防につながると考えられる。アイスマッサージ,ストレッチなどがMTSSの治療法として挙げられているが,有効なエビデンスは示されていない。現状は,痛みの原因である筋へのメカニカルストレスを減らすことが必要であると考えられる。

【文献】

1)Winters M:Unfallchirurg. 2019;122(11):848-53.

2)Newman P, et al:Open Access J Sports Med. 2013;4:229-41.

3)Reinking MF, et al:Sports Health. 2017;9(3): 252-61.

【解説】

大見武弘 東京医科歯科大学医学部附属病院 スポーツ医学診療センター理学療法士

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

長崎県五島中央病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 整形外科 1名
勤務地: 長崎県五島市

当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。

ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。
ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
共に五島で働きましょう。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top