政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)は9月3日、希望者への新型コロナワクチン接種がほぼ完了する今年11月頃をメドに、できる限り制約のない日常生活に戻すため「ワクチン・検査パッケージ」を活用した総合的な取り組みを導入すべきとした提言をまとめた。
「ワクチン・検査パッケージ」は、ワクチン接種歴やPCR等の検査結果を基に、個人が他者に二次感染させるリスクが低いことを示す仕組み。諸外国で「ワクチンパスポート」と呼ばれているものに相当する。
提言は、ワクチン接種率のシミュレーションで最もあり得る接種率は「60代以上85%、40~50代70%、20~30代60%」と予測。この接種率に到達しても「人々の生活や社会経済活動の制限が一定程度必要になる」としながら、可能な限り制約のない日常生活に徐々に戻していくため「ワクチン・検査パッケージ」を活用することを提案。
「ワクチン・検査パッケージ」の適用により段階的に制限を緩和すべき活動として①医療機関・高齢者施設・障害者施設への入院・入所、入院患者・施設利用者との面会、②医療・介護・福祉関係等の職場への出勤、③県境を越える出張や旅行、④全国から人が集まる大規模イベント、⑤大学での対面授業、⑥感染リスクの高い部活動─などを挙げている。
一方、「修学旅行」「入学試験」「選挙・投票」「小中学校の対面授業」などについては、参加機会を担保する必要があるため、「ワクチン・検査パッケージ」を適用せず基本的な感染防止策を講じるべきとしている。
分科会は、提言をたたき台として国民的議論が深まることに期待を示している。