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診断に迷う非典型的な遺伝性脳血管障害

No.5083 (2021年09月25日発行) P.48

河野浩之 (杏林大学医学部脳卒中医学講師)

植田明彦 (熊本大学病院脳神経内科)

登録日: 2021-09-28

最終更新日: 2021-09-22

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  • 血管危険因子がなくても脳卒中を繰り返す遺伝性脳血管障害〔特にCADASIL(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy),CARASIL(cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy)〕がありますが,血管危険因子を複数有する場合や動脈硬化病変を有する場合は診断に迷うことが少なくありません。
    診断のポイントや治療の考え方について,熊本大学病院・植田明彦先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    河野浩之 杏林大学医学部脳卒中医学講師


    【回答】

     【脳表型の脳小血管病巣が特徴的であり,血管危険因子の管理が予防に重要】

    遺伝性脳血管障害であるCADASILは,高血圧や喫煙などの血管危険因子がなくても脳卒中を繰り返す疾患として広く知られています。画像では側脳室周囲の白質病変に加え,側頭極や外包に本症に特異的な白質病変を認め,脳梗塞の浸透率が高く,55歳未満での脳梗塞の家族歴がみられます。このような典型的な表現型のCADASIL症例は,疾患概念の確立から遺伝子変異の同定に重要な役割を果たしてきました。

    一方,遺伝子検査の普及により,非典型的な症例も報告されています。血管危険因子を有する例や,脳梗塞発症年齢が55歳以上の例,側脳室周囲の白質病変を認めるものの側頭極や外包の白質病変がない例,家族歴のない症例などです。これらの報告により,CADASILの表現型には広がりがあることがわかってきています。

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