社会保障審議会医療保険部会は9月22日に開かれ、2022年度診療報酬改定の基本方針について議論した。この中で厚生労働省は、基本方針に盛り込む項目例として、全世代型社会保障制度の実現や働き方改革といった前回からの継続課題に、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症に対応できる医療提供体制の構築を追加する案を提示。委員も概ね了承した。
診療報酬改定の議論では、社保審の医療保険部会と医療部会が基本方針を策定し、その内容を踏まえて、中央社会保険医療協議会が個別項目の点数設定や算定要件を検討する役割分担となっている。例年のスケジュールを踏襲すると、基本方針の策定時期は12月上旬となる見通しだ。
改定の基本方針は、▶改定に当たっての基本認識、▶改定の基本的視点と具体的方向性―で構成される。厚労省はこの日の部会に、これら項目の例を提示。改革に当たっての基本認識には、▶新型コロナをはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築、▶健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現、▶患者・国民に身近で、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革、▶社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和―の4項目を挙げた。
これらに対応する基本的視点では、▶新型コロナをはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築する視点、▶医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する視点、▶医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進に関する視点、▶患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療を実現する視点、▶効率化・適正化を通じて、制度の安定性・持続可能性を高める視点―の5項目を具体例として示した。
議論では保険者などが、コロナ禍であっても、高齢化と人口減少が進む将来には変わりはないと指摘し、医療資源の重点配分や医療の効率・適正化の視点を強く打ち出すよう要請。これに対して医療関係者は、新型コロナは感染患者の受入有無に関係なく、すべての医療機関に深刻な打撃を与えていると訴え、医療機関経営への配慮を改めて求めた。