Cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy(CARASIL)は,high temperature requirement serine peptidase A1(HTRA1)のホモ接合体による常染色体劣性の遺伝性疾患ですが,HTRA1ヘテロ変異が脳小血管病を発症することが明らかにされています。その臨床的特徴を教えて下さい。
HTRA1へテロ変異でもCARASILでみられる禿頭や腰椎症はみられるのでしょうか。また,どのような症例に対してHTRA1の遺伝子検査を実施するとよいのでしょうか。
新潟大学医歯学総合病院・上村昌寛先生に解説をお願いします。
【質問者】
植田明彦 熊本大学病院脳神経内科
【認知機能障害,脳卒中,歩行障害に加え,脊椎症も特徴的】
CARASILは,HTRA1の機能喪失変異が原因です1)。近年,ヘテロ接合性HTRA1変異でも脳小血管病を発症する例が報告されています2)3)。これらヘテロ接合性HTRA1関連脳小血管病例の臨床的特徴はCARASILに類似しますが,両者を比較すると以下の点で異なります。
①神経症状(認知機能障害,脳卒中または歩行障害)の発症年齢はより高齢である(54.1±11.4歳 vs. 29.5±5.5歳),②男性に多い(76.1% vs. 42.9%),③頭部MRI検査で認められる癒合性白質病変の頻度は低い(81.3% vs. 100.0%),④若年発症の禿頭の合併頻度は低い(13.2% vs. 85.7%),⑤脊椎症/腰痛の合併率も低い(60.0% vs. 100.0%)。
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