厚生労働省は9月27日、グラクソ・スミスクライン(GSK)が申請していた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ゼビュディ点滴静注液500mg」(一般名:ソトロビマブ)を特例承認した。
ゼビュディは、GSKと米国のVir社が開発した単回投与の抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体。今年7月に特例承認された抗体カクテル療法の「ロナプリーブ」(一般名:カシリビマブ/イムデビマブ)と同じ中和抗体薬で、ロナプリーブがカシリビマブとイムデビマブを600mgずつ併用で単回点滴静注するのに対し、ゼビュディはソトロビマブ500mgを単回点滴静注する。
ゼビュディの添付文書には「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与を行うこと」と記載され、ロナプリーブと同様、軽症・中等症のCOVID-19患者が投与対象となる。
ロナプリーブは、2種類の中和抗体の組み合わせによる変異株への効果が期待されているのに対し、ゼビュディは、ウイルスの保存性の高い領域(変異が起きにくい領域)に結合することで変異株にも効果を持つことが期待されている。
重症化リスク因子を有し、酸素飽和度94%以上の患者を対象とした海外試験の中間解析で、ゼビュディはプラセボと比べ、入院または死亡に至った被験者の割合を85%有意に減少させた(p=0.002)ことが確認されている(プラセボ群7.2%に対しゼビュディ群1.0%)。またin vitro試験のデータでは、デルタ株、ラムダ株を含む変異株に対し活性を維持することが示されているという。
GSKは、当面、日本政府による購入・流通でゼビュディの国内供給を行うことで合意しており、「迅速かつ適切に供給できるよう日本政府とともに協働していく」としている。
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