【質問者】
永田 智 東京女子医科大学小児科学講座教授
【研究成果は賛否両論あり,現時点で結論が出ていない】
食物アレルギーの発症予防は,その先のアレルギーマーチの進展予防を含めて,小児アレルギー界隈ではホットトピックスとなっています。
端緒は二重抗原曝露仮説(2008年)にはじまりますが,LEAP研究〔落花生介入,NEJM(2015年)〕1)が発表され,一気にその学術的機運が高まりました。すなわち,乳児早期からの抗原摂取介入が,当該抗原のアレルギー発症抑制に寄与する可能性です。その後,わが国のPETIT研究〔加熱鶏卵介入,LANCET(2016年)〕2)が早期介入を支持し,日本小児アレルギー学会は鶏卵早期摂取に関する提言を発表しました。
しかし,LEAP研究のグループが実施したEAT研究(多品目介入)3)や鶏卵を中心とした早期介入による複数の発症予防研究は,必ずしも同等の良い結果(予防効果)を報告していません。JAMA(2016年)に掲載されたメタ解析では,早期摂取の食物アレルギー発症予防戦略に対して,肯定的な記述となっていません4)。
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