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コロナ禍から得た反省や教訓で,今後のAMR対策に活かせそうなものは?

No.5096 (2021年12月25日発行) P.54

日馬由貴 (兵庫県立尼崎総合医療センター 小児科総合診療科医長・小児感染症内科医長)

具 芳明 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野教授東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科統合臨床感染症学分野教授)

登録日: 2021-12-22

最終更新日: 2021-12-21

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  • コロナ禍から得た反省や教訓で,今後の薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)対策に活かせそうなものはありますか?
    東京医科歯科大学・具 芳明先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    日馬由貴 兵庫県立尼崎総合医療センター 小児科総合診療科医長・小児感染症内科医長


    【回答】

    【病原体診断の意識が高まり,確実な感染予防策の実行が期待される】

    AMR対策はCOVID-19パンデミックにかかわらず世界的な健康上の脅威であり続けています。医療機関におけるAMR対策は抗菌薬適正使用と適切な感染予防策が中心となりますが,パンデミックに伴う様々な対応は良くも悪くもこれらに影響を与えていくことになりそうです。

    COVID-19の流行は感染症診療や感染対策のスタイルに大きな影響を与えています。中でも,病原体診断の重要性は社会全体に認識されることとなりました。もはやPCRという言葉を知らない人は誰もいないと思えるくらいです。この2年足らずで多くの医療機関がPCR検査を新たに導入したり,検査体制を増強したり,外注検査へのアクセスを整えたりし,検査の閾値が低くなりました。簡易迅速検査(Point of Care Testing:PO CT)の開発も進んでいます。COVID-19に限らず,適切な病原体診断によって正確な診断を行うことが今後も求められていくことでしょう。ウイルス感染症か細菌感染症かを正確に判断できるようになれば,抗菌薬が経験的治療として処方される機会が減少し,AMR対策の柱のひとつである抗菌薬適正使用の推進につながるものと期待されます。

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