総務省は3月29日、「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン(GL)」をまとめ、地方公共団体に通知した。地方公共団体が所管する公立病院において、地域医療構想を踏まえた役割・機能の最適化や他の医療機関との連携強化策などを盛り込んだ「公立病院経営強化プラン(経営強化プラン)」を2022年度または23年度中に策定することなどを求めている。
厚生労働省は3月24日付の医政局長通知で、地域医療構想に向けた具体的対応方針について、全医療機関に22・23年度中の策定や検証・見直しを要請。公立病院については、具体的対応方針として病院ごとに「経営強化プラン」を策定するよう求めた。これを受けてGLは、経営強化プランも地域医療構想全体のスケジュールに合わせ、22年度または23年度中に策定することを地方公共団体に指示。プランの対象期間は、策定年度またはその次年度から27年度までを標準とする考えを示した。
経営強化プランの記載項目には、▶役割・機能の最適化と連携の強化(地域医療構想に向けて果たすべき役割・機能、機能分化・連携強化など)、▶医師・看護師等の確保と働き方改革(不採算地区病院等への医師派遣の強化や、医師働き方改革への対応など)、▶経営形態の見直し(独立行政法人化や地方公営企業法の全部適用など)、▶新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組、▶施設・設備の最適化(施設・設備の適正管理と整備費の抑制、デジタル化への対応)、▶経営の効率化等(経営指標の数値目標)―などを挙げた。
策定にあたっての基本姿勢では、持続可能な地域医療提供体制を確保するためには、限られた医師・看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用する視点を最も重視する必要があると指摘。中でも、「機能分化・連携強化」の記載については、「特に地域において中核的医療を行う基幹病院に急性期機能を集約して医師・看護師等を確保し、基幹病院以外の病院等は回復期機能・初期救急等を担うなど、双方の役割分担を明確化するとともに、連携を強化することが重要」との考えを示した。また、その際には、公立病院同士に止まらず、公的病院や民間病院、かかりつけ医機能を担う診療所等との連携強化につながる取組も検討するよう求めた。