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トキソプラズマ症[私の治療]

No.5113 (2022年04月23日発行) P.50

阪本直也 (東京都立墨東病院感染症科医長)

登録日: 2022-04-22

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  • トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)はネコ科動物を終宿主とし,その他の脊椎動物(哺乳類や鳥類)を中間宿主とする。終宿主の腸管で有性生殖を行い,オーシストを形成する。オーシストは終宿主の腸管から排泄される。中間宿主内では無性生殖を行い,宿主の筋肉などで組織シストとなる。ヒトへの感染は,①オーシストの経口摂取,②感染した中間宿主(ウシ,ブタなど)を生,あるいは調理不十分で摂取,③経胎盤感染(妊婦が初感染し,胎児へ感染する),④臓器移植(ドナーから提供された感染臓器を介してレシピエントが感染)が挙げられる。

    病型は,先天性トキソプラズマ症と後天性トキソプラズマ症(急性感染症,眼トキソプラズマ症,日和見感染症)にわけられる。健常人が感染した場合には,不顕性感染か,軽度の急性症状を呈する。

    ▶診断のポイント

    病歴,臨床症状に加えて,血清学的診断(抗トキソプラズマIgM抗体,IgG抗体,ペア血清,IgG avidity)やPCR検査により行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    先天性トキソプラズマ症は,出生児への検査,眼底所見,母体の検査を行い,治療の開始を検討する。治療の目的は,重度な神経学的・眼科的合併症の発症を抑制することである。出生時に先天性トキソプラズマ症の症状がある場合は治療を行う。慢性期になり症状が固定化してからでは,治療の効果が期待できない。そのため,無症候性であっても感染を疑った場合は治療を検討する。

    後天性トキソプラズマ症では,妊婦以外の急性感染症は対症療法のみでよい。眼トキソプラズマ症や日和見感染症は,診断的治療を行う場合もある。

    妊婦がトキソプラズマに初感染した場合,妊婦のみが感染し胎児への感染がないのか,または胎児への感染があるのかを検査を行い判断する。Daraprim(ピリメタミン)は催奇形性が報告されており,妊娠16週以降に治療を開始する。また,妊娠28週以降のSulfadiazine(スルファジアジン)投与は新生児核黄疸のリスクがあり,妊娠28週以降は他剤へ変更したほうがよいとする意見もある。

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