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脊椎・脊髄外傷[私の治療]

No.5116 (2022年05月14日発行) P.40

山田裕彦 (岩手医科大学救急・災害・総合医学講座救急医学分野准教授)

登録日: 2022-05-17

最終更新日: 2022-05-10

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  • 脊椎損傷は高エネルギー外傷で起こることが多く,墜落・交通事故等で多くみられ,脊髄損傷を合併することが多い。また,骨傷を伴わない脊髄損傷は基礎疾患に後縦靱帯骨化症などの脊柱管狭窄症を伴うことが多く,転倒などの軽微な外傷でも起こることがある。

    脊椎損傷では,脱臼や不安定性を呈する損傷や椎体の圧潰が20%を超えるような場合,手術適応となる。脊髄損傷では,損傷を受けた脊髄細胞は脳細胞と同様再生しないため,脊髄の腫脹などの二次損傷を軽減する目的で薬物療法を行う。最近では脊髄再生医療1)2)も行われはじめており,選択肢が増えてきている。

    ▶病歴聴取のポイント

    墜落外傷では墜落した高さや墜落後の体位を聴取する必要がある。交通事故では,車両が横転したか,フロントガラスの損傷や車両の破損状況の聴取が必要となる。転倒では顔面や頭部をぶつけたかどうかを聴取する。また,受傷前から上肢や下肢に神経症状を認めたかどうかの聴取も必要となる。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    高エネルギー外傷では多部位に損傷を認めることが多く,全身の診察および検査が必要となる。脊髄損傷では脊髄性ショックと言われるショック症状を呈することがあるため,胸腔・腹腔・後腹膜腔に出血する出血性ショックとの鑑別が必要となる。頸椎損傷では,椎体前面に血腫を形成して気道狭窄をきたすことがあり,頸部の聴診は必須と考える。

    身体診察では知覚・運動の麻痺の程度を確認して障害されている脊髄レベルを判断する必要があり,完全麻痺か不全麻痺かを判断する。その他,腱反射の状態も確認する。完全麻痺の場合には,肛門括約筋の反射が消失する。

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