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発熱を伴い右側に傾く85歳男性[鑑別診断塾入門(28)]

No.5118 (2022年05月28日発行) P.9

塩尻俊明 (国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2022-05-31

最終更新日: 2022-05-25

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【現病歴】X-2日,起床後からあぐらや椅子に座る時,まっすぐ座れず右に傾くようになった。歩行時は右に傾くことはなかった。毎日乗っていた自転車にも乗らずに押して歩くようになった。頻尿も自覚。X-1日,悪寒後に38℃の発熱。全身の脱力感が強く,左下腹部に違和感も自覚。近医で経口セフェム系抗菌薬,アセトアミノフェンを処方。X-0日,立つことはできるものの坐位を拒絶するようになり,解熱せず全身の脱力感もあり来院。
<追加の情報>
立位,臥位では姿勢は斜めにならない。左下腹部痛は鼠径部より上に疼くような持続痛。頭痛なし。
【既往歴】X-13年,胆囊摘出術。X-5年,高血圧。X-2年,黄斑変性症。
【内服薬】テルミサルタン40mg/日
【生活歴】喫煙20本/日×40年。飲酒なし。元農家。
【バイタルサイン】BT 38.5℃,BP 139/75 mmHg,PR 103/min,RR 24/min,SpO2 95%(RA),意識清明
【身体所見】胸部:心雑音なし。腹部:左鼠径部より上方の左下腹部にわずかに圧痛あり。背部:CVA圧痛なし。皮膚:Osler結節とJaneway病変なし。神経:項部硬直,右片麻痺,失調,錐体外路症状なし。

 キーワード 
・急性 
・頻尿 
・悪寒を伴う発熱
・坐位のみで右に傾く
・左下腹部痛
・左CVA圧痛なし
・右片麻痺,失調,錐体外路症状なし

考えられる診断は?

A. 脳膿瘍
B. 感染性心内膜炎
C. パーキンソン病
D. 腎盂腎炎
E. 精巣上体炎

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