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片頭痛予防治療としてのCGRP関連抗体薬の使用上の留意点は?

No.5119 (2022年06月04日発行) P.50

野村哲志 (のむらニューロスリープクリニック院長)

竹島多賀夫 (富永病院脳神経内科部長/ 頭痛センターセンター長)

登録日: 2022-06-01

最終更新日: 2022-05-31

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  • 片頭痛への予防治療として3種類のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)受容体拮抗薬が使用できるようになりました。その使用について留意点をご教示下さい。
    富永病院・竹島多賀夫先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    野村哲志 のむらニューロスリープクリニック院長


     【CGRP関連抗体薬3製剤が片頭痛発症抑制薬として上市され,片頭痛治療のパラダイム・シフトが起こりつつある】

    【回答】

    CGRPが片頭痛の疼痛発生に重要な役割を担っていることが明らかになり,CGRPを標的とした治療薬の開発が進められてきました。2021年には,CGRPと特異的に結合する抗CGRP抗体(ガルカネズマブ,フレマネズマブ),CGRP受容体に結合する抗CGRP受容体抗体(エレヌマブ)が上市されました。これら3製剤は皮下注により投与する薬剤です。その他,静注製剤の抗CGRP抗体eptinezumab,経口CGRP受容体拮抗薬atogepantが開発治験中です。

    わが国で承認された3種類の抗体製剤の有効性を直接比較した臨床試験はありませんが,ほぼ同等と考えられます。ただし,各々の片頭痛患者に最適な製剤がある可能性があり,1剤の効果が不十分であれば,他の製剤に変更してみる価値はあります。

    投与に際し留意すべき事項として,第一に片頭痛の診断が正確になされていることが重要です。「片頭痛」は症状名ではなく,診断基準が整備された脳神経疾患であり,片頭痛の診断は「国際頭痛分類第3版」の診断基準に沿って決定される必要があります。次いで,十分な生活指導,急性期治療を実施していても片頭痛による生活への支障がある患者で,既存の予防薬では十分な治療ができず,月に4日以上の片頭痛が起こっている場合に保険適用が認められています。

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