抗酸菌症はMycobacterium属による感染症である。そのうち皮膚結核はヒト型結核菌Mycobacterium tuberculosisおよびウシ型結核菌M. bovisにより,ハンセン病はM. lepraeおよびM. lepromatosisにより,非結核性抗酸菌症は上記以外の抗酸菌により生ずる。
皮膚結核には真性皮膚結核(皮膚腺病など)と,結核菌に対する免疫反応で生じる結核疹(硬結性紅斑など)があり,検査法には,培養,病理組織検査,PCR検査,質量分析法,クオンティフェロンⓇTBゴールド(QFT-3G)やTスポットⓇ.TB(T-SPOT)がある。
非結核性抗酸菌症は,それぞれの原因菌により特徴的な感染経路や皮疹がある。M. marinumは魚などから感染して結節を形成し,M. aviumは24時間風呂や温泉で感染する。M. chelonaeやM. abscessusでは皮下膿瘍を生ずる。M. ulcerans感染症はBuruli潰瘍と呼ばれ,水辺で感染して痛みの少ない潰瘍を生じる。M. haemophilium感染症は免疫不全患者に好発する。検査法には,培養,病理組織検査,PCR検査,質量分析法がある。
ハンセン病は,皮疹の数や検出される菌の量から少菌型,多菌型に分類され,知覚鈍麻や運動神経麻痺を伴う。また,経過中に1型および2型らい反応を合併することがある。検査法には,皮膚スメア検査,病理組織検査,PCR検査がある。
皮膚結核では真性結核,結核疹ともに通常の肺結核に準じた治療を行う。非結核性抗酸菌症では耐性菌を出現させないために多剤で治療し,症例により温熱療法,外科的切除を併用する。ハンセン病ではWHOの推奨する多剤併用療法(multidrug therapy:MDT)で加療する。らい反応を合併した場合,ステロイドやサリドマイドを併用する。
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