中央社会保険医療協議会総会は7月20日、2023年度の中間年薬価改定の基礎資料を得るための薬価調査の実施案を了承した。前回の21年度の中間年改定と同規模の客体を対象に抽出調査を行う。12月初旬の総会に、薬価と市場実勢価格の乖離率の速報値が報告される見込み。
調査は22年9月取引分を対象として実施する。販売サイド調査は、医療機関・薬局に医薬品を販売する医薬品卸売販売業者の営業所等の全数から、層化無作為抽出法によって2/3の抽出率で抽出された営業所等を対象に選定。購入サイド調査の客体の抽出率は、▶病院1/40、▶診療所1/400、▶薬局1/120―とする。
薬価調査をふまえた23年度中間年改定の具体的内容は、薬価専門部会で議論した後、総会に報告することとする。
初の中間年改定となった21年度改定では、改定対象品目を市場実勢価格との乖離率が5%を超える品目に限定するとともに、改定後薬価の引き下げ幅を緩和する新型コロナウイルス感染症特例を設定。市場拡大再算定や長期収載品の薬価引き下げなど、実勢価改定と連動しない薬価算定ルールは適用しなかった。今後の議論ではこうした取り扱いを23年度改定でも継続するのかが、争点になる。
この日、総会に先立って開かれた薬価専門部会で、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、新型コロナウイルス感染症の再拡大、燃料費や物価の高騰、いまだ続く医薬品の供給不安など、医療機関や製薬業界を取り巻く環境の激化も考慮した、幅広い視点での議論を要望。有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)も、「短いサイクルでの薬価改定で薬局の資産価値は目減りしており、現場の声を丁寧に拾う議論が必要だ」と訴えた。