医薬分業で院外処方箋を交付する医療機関が多い中,いまだに手書きの処方箋を見かけることもあります。中には判読不能な文字もあり,調剤する薬剤師泣かせとなります。
①違う薬が処方されていることについては説明済みであり,患者の勘違いですよ。
②失礼しました。薬剤師全員が,私の字を判読できるものとばかり思っていました。違う薬が処方されているという件については,私から患者に改めて説明します。
薬剤師は,薬剤師法により,処方箋の中に疑わしい点があるときは,処方箋を交付した医師に問い合わせて,疑わしい点を確認した後でなければ調剤してはならないと義務づけられています。薬の読み違いによる調剤ミスも生じることから,問い合わせに対しては,面倒がらずにきちんと対応しなければなりません。②のように薬剤師にはきちんと対応する,患者に対しては担当医として説明する必要があります。
某病院の医事課長から,調剤薬局と次のようなやり取りがあったという話を聞きました。診察を終了した高齢の患者が調剤薬局に出向き処方箋を提出したところ,判読不明な薬剤名があり,患者に服用の薬剤名を聞いてもわからないため,医事課に電話を入れたとのこと。医事課長が直接電話に出ましたが,既に当該医師の診療は終了して不在であったため,すぐに確認が取れない旨を説明したところ,薬剤師から「それでは医事課長のほうでカルテ確認の上,記載された薬剤名を教えてほしい」と言われたということでした。いくら何でも,処方医でもない医事課長がカルテに記載された薬剤名を教えることに問題があると思い,断ったそうです。
医事担当者であれば判読可能とも思えましたが,仮に回答しても,調剤薬局の薬剤師がその資格において調剤を行う以上は,その責任も負うというのが法律上の建前であることを知っていたのでしょうか。薬剤師に責任があるからと言って,読み方を間違えた場合のことを考えると,医事課長としては回答することができなかったということでしょう。