日本医師会の松本吉郎会長は8月19日、厚生労働省内で加藤勝信厚労相と面会し、医療機関の負担を軽減するため、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)についてさらなる作業効率化を求める要望書を提出した。
HER-SYS等を通じて行う新型コロナ感染症の発生届の届出については、オミクロン株「BA.5」による感染者数の爆発的増加に伴い医療機関・保健所の負担が大きくなっていることから、政府は8月4日、届出項目の簡略化を決定。
具体的には、健康フォローアップセンターの設置など自治体で一定の体制が構築されていることを条件に、重症化リスクの低い患者の発生届の入力項目を「患者・疑似症患者等の診断類型」「氏名」「性別」「生年月日」「報告日」「住所(市区町村名まで)」「電話番号」の7項目に削減できるとした。
加藤厚労相と面会した松本会長は、HER-SYSについて、入力項目削減に続く「さらなる作業効率化」を要望。その一方で、政府が検討を進める感染者全数把握の見直しについては「全数把握の利点の継承を図る」必要があるとし、廃止は求めなかった。
終了後、記者団に対し松本会長は「全数把握については患者の状態の把握、疫学的な調査の観点があり、すべてを廃止していいか今後も検討する余地がある」と述べ、全数把握廃止には慎重な考えを示した。
加藤厚労相に手渡した要望書ではこのほか、①発熱外来対応が可能な医療機関数拡充のための支援、②抗原定性検査キットの医療機関への優先的供給、③抗原定性検査キットによる自己検査の陽性結果を健康フォローアップセンターに登録する仕組みの全国的普及、④3・4回目ワクチン接種推進に対する支援、オミクロン株対応ワクチンの安定的供給、⑤9月末を期限とする新型コロナ感染症関連の支援策の継続─などを求めている。