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無菌性髄膜炎(成人)[私の治療]

No.5134 (2022年09月17日発行) P.42

三木健司 (長岡西病院副院長/神経内科部長)

登録日: 2022-09-19

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  • エンテロウイルス,単純ヘルペス2型などが原因ウイルスとして多く,水痘帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎は,潜伏感染の再活性化に起因する場合もある。また,薬剤が無菌性髄膜炎の原因となることがある。無菌性髄膜炎の診断において重要なのは,他の要因で起こる髄膜炎と誤らないことであり,注意深い経過観察を要する。

    ▶診断のポイント

    ウイルス感染症を考えるような感冒症状・消化器症状などの後に,髄膜刺激徴候(頭痛・項部硬直・発熱)を呈した場合に,無菌性髄膜炎を疑う。診断は髄液検査にて行う(意識障害,脳炎/脳症が疑われる場合,60歳以上の患者では,髄液検査前に頭部CT/MRIを行うことが望ましい)。髄液糖の低下を伴わず(単純ヘルペスウイルスの場合には軽度低下する場合あり),単核球優位の細胞数増多(単純ヘルペス2型髄膜炎の場合にはMollaret細胞が認められることがある)を示し,軽度の蛋白上昇を伴うことも多い(150mg/dL未満)。ただし,ウエストナイルウイルス髄膜炎では高度の蛋白上昇を伴う。

    多形核球増多,髄液糖低下,血清CRP,髄液CRP(100ng/mL以上),血中プロカルシトニン,髄液乳酸値(35mg/dL以上)が高値である場合には,細菌性髄膜炎が疑われる。ウイルス性髄膜炎と思われても,Listeria monocytogenes髄膜炎やCampylobacter fetus髄膜炎,硬膜外膿瘍といった細菌性髄膜炎であったり,後に脳炎に進展したということは時に経験される。常に細菌性髄膜炎やヘルペス脳炎,結核性髄膜炎等を疑いながら診療にあたることが望ましい。また,脳炎を疑う場合には脳波検査・頭部MRIが有用である。

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