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抗血栓薬を服用する高齢者への内視鏡診療の注意点は?

No.5137 (2022年10月08日発行) P.52

岩谷勇吾 (信州大学医学部医学科先端治療内視鏡学講座 准教授)

富田英臣 (愛媛大学医学部消化器・内分泌・代謝内科学 (第三内科))

登録日: 2022-10-05

最終更新日: 2022-10-04

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  • 最近,日常診療において抗血栓薬を服用されている高齢患者の内視鏡を行う機会が増えていますが,その際の注意点について,愛媛大学・富田英臣先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    岩谷勇吾 信州大学医学部医学科先端治療内視鏡学講座 准教授


    【回答】

     【高齢者では血栓塞栓症リスクが高く,抗血栓薬休薬は最小限とすることが重要】

    2021年,わが国の65歳以上の高齢者人口は3640万人,総人口に占める割合は29.1%と過去最高となっています。高齢者の割合は今後も上昇を続け,2040年には,35.3%になると見込まれています1)

    高齢者では複数の疾患を有していることが多く,特に脳・心血管疾患を有する患者は増えています。脳梗塞や心筋梗塞後の二次予防,冠動脈形成術後のステント血栓症の予防には抗血小板薬が必要であり,また心房細動や弁置換術後の血栓塞栓症予防,深部静脈血栓症の治療には抗凝固薬が不可欠です。

    一方,消化管疾患を有する高齢患者も増加しており,診断・治療のために消化器内視鏡検査を行う機会が増えています。

    抗血栓薬を服用している高齢者に内視鏡を行う際に問題となるのが,処置に伴う出血イベントと休薬による血栓塞栓イベントの発症です。高齢者では脳・心血管疾患の発症リスクは非高齢者よりも高く,主要な死因となるのみならずADL低下の原因となるため,安易な休薬による血栓塞栓症の発症は避けなければなりません。

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