発生学的に耳介と外耳道は第1・第2鰓弓から形成されるため,両者の形成異常は合併することが多い。
小耳症の分類はMarx分類が古くから用いられ,Ⅰ度(耳介の構成部分がかなり認識できるもの),Ⅱ度(耳介の構成部分が一部認識できるもの),Ⅲ度(単なる皮膚の隆起として遺残するもの)に分類されるが,わが国では永田分類(耳垂型,耳甲介型,小耳甲介型)が広く用いられている。
外耳・中耳奇形は大奇形と小奇形に分類され,大奇形は外耳道・鼓室の異常を認め耳介の奇形を伴うことが多い。小奇形は外耳道と鼓膜は正常で中耳の奇形に限定され,耳介の奇形は伴わないことが多い。
先天性外耳道狭窄症は,先天性外耳道閉鎖症の奇形の程度が軽いものと解釈される(最狭窄部が4mm以下)。
小耳症も先天性外耳道閉鎖症も,出生時に診断がなされることがほとんどである。耳介形態異常が軽度の場合には,外耳道奇形の診断がつかない症例もあるが,新生児聴覚スクリーニング検査が広く普及しているため,比較的早期に耳鼻咽喉科へ受診することが増加した。
外耳道閉鎖症は40〜60dB前後の伝音難聴を生じることが多く,聴力型はstiffness curveを描くことが多い。症候群性でない場合には内耳奇形の合併は少なく,感音難聴は生じない。骨性に閉鎖する場合と膜性に閉鎖する場合とがあるが,どちらも中耳奇形を生じることが多い。
小耳症の手術に関しては形成外科医によって行われる。肋軟骨を使用した自家移植術が主流であるため,十分な肋軟骨が採取できる10歳前後に行うことが多く,通常2〜3回にわけた段階手術を行う。
先天性外耳道閉鎖症に関しては言語発達面に注意する必要がある。適切な聴覚検査で評価し,幼小児期は言語発達遅滞が生じないように補装具装用を行う。言語獲得後には人工聴覚器手術,外耳道・鼓室形成術の検討などを行う必要があるが,外耳道・鼓室形成術は十分な成績が得られないことが多い。
先天性外耳道狭窄症では外耳道真珠腫を高率に合併するため,定期的な清掃とCTでの評価を行う必要がある。
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