緊張型頭痛は,一次性頭痛の中で最もありふれたタイプの頭痛である。一般集団における年間有病率は約20~30%,生涯有病率は30~78%である。頭痛は数十分~数日間持続し,両側性のことが多く,圧迫感または締めつけ感が主体である。軽度~中等度の痛みで,日常的な動作により頭痛が増悪しない。重度の悪心や嘔吐は伴わない。頭痛の頻度(頭痛日数)により,稀発反復性,頻発反復性,慢性に分類する。
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の分類と診断基準に沿って診断する1)。1カ月の平均頭痛日数が,1~14日を頻発反復性緊張型頭痛とする。これより頻度が少ないものは稀発反復性緊張型頭痛,15日以上であれば慢性緊張型頭痛とする。
診断基準として,頭痛の特徴が①両側性,②性状は圧迫感または締めつけ感(非拍動性),③強さは軽度~中等度,④歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない,の4項目中2項目以上を満たし,かつ随伴症状に悪心や嘔吐はなく,光過敏や音過敏はあってもどちらか一方である。
緊張型頭痛の診断のポイントは,二次性頭痛が否定できており,片頭痛の特徴を持たない頭痛である,ということである。
稀発反復性緊張型頭痛は通常,治療の対象とならない。頭痛が強ければ,鎮痛薬を頓用で使用する。頻発反復性緊張型頭痛で,頭痛の持続時間が数時間以上あれば,鎮痛薬やNSAIDsを使用する。ベンゾジアゼピン系薬の連用は避けるべきであるが,頓用あるいは短期間,NSAIDsと併用すると奏効する。ロキソプロフェン,ジクロフェナクは頭痛,緊張型頭痛に対する保険適用はないが,医療課長通知により保険診療上の使用が認められている。
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