【質問者】
立石智彦 同愛記念病院整形外科
【joint by joint theoryとactive corrective approachで早期復帰をめざす】
アスリート腰部障害の治療原則は,joint by joint theory(JBJT)とactive corrective approach(ACA)です。まずJBJTに従い,腰部体幹はコアトレーニングにより安定化を図ります。また,隣接の胸椎・胸郭および股関節周囲の可動性を増加させ,腰部を護ります。ACAでは機能不全に陥った腰部周囲の関節を評価し,それを改善します。たとえば,肩関節が硬い選手の場合,肩の硬さを補うために腰部で代償動作があり,それによる腰痛が生じます。その場合,肩を治療しないと腰痛は完治に至りません。ACAでは腰痛の原因である,腰以外の機能不全を見つけ,それを修正します。
腰椎椎間板ヘルニアの運動療法の肝は,椎間板内圧を下げながら腰部体幹を安定化させることです。その目的には,ピラティスのエロンゲーションが適しています。さらに,腰部を安定化させた状態で隣接の胸郭と下肢の分離・分節運動を修得させることで,疼痛のない状態での復帰が期待できます。
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