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特集:皮膚との相性を考慮した貼付剤効果の高め方

No.5152 (2023年01月21日発行) P.18

大井一弥 (鈴鹿医療科学大学薬学部臨床薬理学研究室教授・薬学部長)

登録日: 2023-01-20

最終更新日: 2023-01-18

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2005年城西大学薬学部助教授,08年より現職。博士(薬学),ICD,日本医療薬学会指導薬剤師,日本老年薬学会老年薬学指導薬剤師。日本薬学会Award The Most Published Author Award 2017-2021 in BPB他受賞。主な著書に『ライフステージや疾患背景から学ぶ臨床薬理学』など

1 貼付剤の種類は様々である
・皮膚に適用する医薬品は,皮膚の局所作用と全身作用を目的としたものに分類される。
・局所に作用する貼付剤は,消炎鎮痛薬が代表的でパップ剤とテープ剤がある。
・また全身に作用する貼付剤として経皮吸収型製剤があり,約40年の間に20品目を超える製剤が開発されてきた。

2 皮膚を透過して効く製剤
・製剤に含有されている薬剤が角層を介して分布し,表皮から真皮へと移行し,さらに血中に移行する。
・経皮吸収型製剤は,他の剤形よりもなだらかな血中濃度推移を示す。

3 製剤と皮膚の関係
・経皮吸収型製剤の開発コンセプトには,主成分を一定時間保持し,放出調節膜で放出を制御するしくみの開発のほか,粘着力も強力にすることがある。
・経皮吸収型製剤の開発には,他の剤形の薬剤と同様にかなりの歳月を要している。
・素晴らしい製剤が世に出ても,皮膚への粘着性や患者の貼付時の使用感は無視できない。
・生体(皮膚)側においては,皮膚障害をはじめとした多くの問題が生じやすい。

4 貼付部位による効果の違い
・一般成人では,皮膚表面のpHは4.5~6.0と弱酸性を示すが,加齢などにより皮脂が欠乏した皮膚では,pHが上昇する。
・また,人体は胸,上腕,背中周辺の角層水分量が最も高く,へそ,腰,さらに下肢に向かって角層水分量は低下していく。
・これらのことから,貼付剤をどこに貼付しても同じ効果が得られるとは考えにくく,全身作用を期待した貼付剤を貼付する場合は,胸,上腕,背中が望ましい部位と考えられる。

伝えたいこと…
貼付する皮膚の状態が乾燥しているか,潤っているか,傷があるかなどによって,貼付剤の有効成分の吸収率や効果に大きな影響をもたらすことがあるということ,また,貼付剤の貼付で皮膚に物理的・化学的刺激を与えることになるため,皮膚にダメージを与える可能性があるということを知っておくことが必要である。

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