社会保障審議会介護給付費分科会は1月16日、「介護職員処遇改善加算」などの申請様式の簡素化案を了承した。これを受けて厚生労働省は2月末頃を目途に様式変更の通知を発出し、2023年度分の計画書や実績報告書から新様式による作成・提出を求める。
処遇改善関連の加算の評価体系は現在、基本となる「介護職員処遇改善加算」、介護職員の基本給引き上げを目的とした「介護職員等ベースアップ等支援加算」、主に経験・技能のある介護職員の処遇改善を目的とした「介護職員等特定処遇改善加算」の3階建て構造となっている。
いずれの加算を取得する場合も事業所は、指定権者の自治体に対して毎年度、処遇改善に関する事前の計画書と実績報告書を提出することが求められる。その際には、適切な運用が行われていることを確認できるよう、3種類それぞれの加算対象者ごとに、前年度と比較して算出した賃金改善額が加算額を上回っていることを示す必要があるが、こうした手続きの煩雑さが加算取得の妨げになっているとの指摘があった。
改善策として今回の見直しでは、(1)計画書における前年度と今年度の賃金額比較の省略、(2)実績報告書における3加算の賃金額比較の一本化、(3)計画書と実績報告書における事業所ごとの賃金総額等の記載の省略―を実施。事業所の事務負担軽減を図る。
(1)では、3加算それぞれについて今年度の賃金改善見込額が加算見込額を上回ることを確認するが、前年度との比較はせず、加算以外の部分で賃金を下げないことの誓約を求めることにする。(2)でも計画書と同様、各加算の今年度の賃金改善額が加算額以上であることを確認。その上で、3加算一体で前年度との比較を行う。具体的には、「今年度の賃金総額」から「3加算の賃金改善額の積み上げ額」を差し引いた額を前年度と比較し、加算以外の部分で賃金を下げていないことを確認する。
(3)は、複数の事業所を運営する法人のための対応で、これまで必須としていた賃金総額や賃金改善額等に関する事業所ごとの内訳の記載を不要とする。新様式の適用は、(1)、(2)が23年度の計画書と実績報告書から、(3)は22年度の実績報告書と23年度の計画書からとする。