腰椎変性すべり症は中高年において脊柱管狭窄症を呈する代表的疾患のひとつで,椎間板や椎間関節の退行性変化を発端に脊椎にズレ(すべり)を生じて発症する。典型的症状は腰痛,坐骨神経痛,膀胱直腸障害などの馬尾症状,間欠跛行などである。
下肢の神経根症状や馬尾症状で疑い,腰椎X線によるすべりとMRIによる狭窄所見(すべり,椎間板膨隆,黄色靱帯肥厚など)により診断に至る。
治療の第一選択は,生活指導,装具療法,理学療法,薬物療法,ブロック注射などの保存療法である。
腰痛や坐骨神経痛などの神経障害性疼痛に対する薬物療法では,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),アセトアミノフェン,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液,ビタミン製剤,筋弛緩薬,オピオイド,セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI),プレガバリン,ミロガバリン,向精神薬,漢方薬,リマプロストなどを単独あるいは組み合わせて投与する1)。
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